運動失調に対する小脳への非侵襲的脳刺激(NIBS)の治療応用は十分なエビデンスがあるとはいえない.小脳構造・ネットワークの特異性を踏まえると,経頭蓋磁気刺激(TMS)・経頭蓋直流電流刺激(tDCS)の効果は一様ではない可能性がある.しかしながら,NIBSの効果に関する報告は複数ある.また,自験例では小脳・大脳皮質ペアTMSを施行したところ失調小脳の改善を認めている.小脳やそのネットワークの賦活を目的に,刺激パラメータ,刺激プロトコルを十分に検討すれば,NIBSによる運動失調治療は有望であると考えられる.