2019 年 56 巻 6 号 p. 476-480
不登校問題を9~10歳の発達の質的転換期を視野に,障害との関連を念頭に置いて教育学的に検討した.この質的転換期には抽象的論理的思考が獲得され,学習活動だけでなく,実行機能などにも変化が現れるが,この発達課題が不登校問題と関連している.「社会性の学習」や「ほめて育てる」ことは,ときに不適応行動を招くことがあり,教育方法としては慎重な吟味が必要だ.形成的自己評価をめざした学校教育が必要であり,文化,科学,芸術の習得と内面化を通しての自己変革が求められている.