2022 年 59 巻 5 号 p. 503-510
目的:回復期リハビリテーション病棟のアウトカム評価における除外項目が実績指数に及ぼす影響を明らかにすること.
方法:対象は回復期リハビリテーション病棟入院患者812名.目的変数を実績指数40以下,説明変数を実績指数の除外項目とそれらを組み合わせた計8カテゴリ(①運動FIM低値,②運動FIM高値,③認知FIM低値,④高齢,⑤運動FIM低値+認知FIM低値,⑥運動FIM低値+高齢,⑦認知FIM低値+高齢,⑧運動FIM低値+認知FIM低値+高齢),調整変数を性別,リハビリテーション算定区分,発症から入棟までの期間としたとしたポアソン回帰分析を実施し,除外項目がアウトカム発生に関わる罹患率比(incidence rate ratio:IRR)と95%信頼区間(confidence interval:CI)を算出した(有意水準:5%).
結果:除外項目8カテゴリのうち,③認知FIM低値,④高齢,⑦認知FIM低値+高齢を除く5項目がアウトカム発生と有意な関連を認めた.アウトカム発生に対するIRRが最も高かったのは,②運動FIM高値で2.29(95%CI:1.41-3.69,p<0.001)であった.
結論:回復期リハビリテーション病棟の実績指数除外患者の判定において,運動FIM高値であることは実績指数40を下回る相対リスクが高くなることが明らかとなった.一方で,認知機能低下や高齢者であること自体は実績指数で表すリハビリテーション治療効果を阻害する因子にはなり得なかった.