単相性4連発磁気刺激法(quadripulse stimulation:QPS)は,日本で開発され,4発の磁気刺激をバースト状に与え,5秒間隔で繰り返す手法である.バースト状磁気刺激の刺激間隔により,大脳皮質興奮性を促通・抑制し,刺激間隔5 msで促通性(QPS-5),刺激間隔50 msで抑制性が最も強い(QPS-50).種々ある非侵襲的脳刺激法の中で,QPSは,最も持続時間が長く,個体間変動が少ない刺激法である.
われわれは,脳卒中後上肢麻痺患者2例に対してQPS-5を損傷半球に実施後,視覚誘導性自己運動錯覚や課題指向型訓練,HANDS療法を併用した治療2週間後に,麻痺側上肢機能の改善が得られたことを報告した.本稿では,QPSの効果やメカニズム,利点や欠点,今後の課題について概説する.