動物実験の結果として迷走神経刺激(VNS)は,神経新生や血管新生などを促し脳の可塑性を高めると報告された.よって,脳卒中患者に対する埋め込み型VNSの臨床応用が試みられたところ,これにより運動機能の回復が有意に向上することが確認された.ただし,埋め込み型VNSの臨床応用は,その侵襲性が大きな障壁となる.そこで,迷走神経耳介枝を非侵襲的に刺激する経皮的VNSの臨床応用が開始された.現時点ではすでに,経皮的VNSと上肢機能訓練の併用が脳卒中後上肢麻痺の回復に有用であることが示されている.経皮的VNSは,脳の可塑性を高めるneural plasticity enhancerになり得る.