2023 年 60 巻 12 号 p. 1073-1078
復職希望があり就労能力が残存する頚髄損傷者には,リハビリテーション治療と両立支援により復職し,労働者として活躍することを促したい.完全四肢麻痺例は原職復帰が難しいことが多く,会社側の復職条件や利用できる勤務制度を確認し,配置転換などの相談が必要となる.限られた休職期間内で復職するためには,早い時期から患者や家族と障害予後を共有し,会社側から提示される復職条件の達成に向け多職種協働で集中的,計画的にリハビリテーション治療を進めるとともに,頚髄損傷特有の健康管理方法や復職時の問題点の検討を行う.医療機関からも必要な情報提供や助言を行い,会社側の協力や配慮のもとに安全で有益な復職と長期雇用をめざしたい.