2024 年 61 巻 10 号 p. 907-912
アルツハイマー病は認知症の主たる原因疾患である.発症前よりアミロイドβの脳内沈着に始まる病態が潜在性に緩徐に進行する.これまで神経変性疾患の生前診断は困難であったが,アルツハイマー病は病態を反映するバイオマーカーの確立により早期からの脳内病態の診断が可能となった.認知症の診断は臨床症状に基づくが,疾患修飾薬の導入にはバイオマーカーによる脳内病理の客観的な評価が必要である.早期アルツハイマー病患者に対する抗アミロイドβ抗体薬が開始されているが,長期的な効果や安全性など実臨床における知見が今後注目される.