The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
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二次出版:倦怠感と認知機能障害を伴う新型コロナウイルス感染後遺症に対する反復性経頭蓋磁気刺激の効果
佐々木 信幸山徳 雅人土田 知也佐藤 寛之山口 慶一郎
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2024 年 61 巻 9 号 p. 887-895

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抄録

目的:新型コロナウイルス(SARS-CoV-2:COVID-19)感染後遺症による倦怠感やさまざまな認知機能障害(ブレインフォグ)に対する治療法は確立されていない.本研究の目的は,これらの症状に対する反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)の有効性を明らかにすることである.

方法:COVID-19に感染後3カ月が経過しても倦怠感と認知機能障害を呈している患者12名を対象に,後頭葉と前頭葉に高頻度rTMSを適用した.10回のrTMSを施行する前後で,Brief Fatigue Inventory(BFI),Apathy Scale(AS),Wechsler Adult Intelligence Scale-fourth edition(WAIS-Ⅳ),123I-IMP single photon emission computed tomography(SPECT)について評価した.

結果:12名の対象は有害事象なしに10回のrTMSを完遂した.被験者の平均年齢は44.3±10.7歳,平均罹病期間は202.4±114.5日であった.BFIは治療前では5.7±2.3であったが,治療後には1.9±1.8に有意に減少した.ASも治療前19.2±8.7,治療後10.3±7.2であり,その差は有意であった.WAIS-Ⅳのすべての下位項目はrTMSの治療前後で有意に改善し,全検査IQは94.6±10.9から104.4±13.0に上昇した.SPECTでは両側後頭葉と前頭葉に血流低下が認められたが,10回のrTMS施行後にその低下範囲や程度は改善した.

結論:われわれにとってもrTMSの効果は未知数で研究の初期段階ではあるが,この手技は容易かつ非侵襲的に症状を改善し得る新たな治療法となる可能性を秘めている.

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