2026 年 63 巻 3 号 p. 210-214
脊髄性筋萎縮症(SMA)は,SMN1遺伝子の欠失により,SMNタンパクが産生されないことにより,脊髄前角細胞が変性・消失し,進行性の筋萎縮と筋力低下を呈する常染色体潜性遺伝疾患である.SMN1遺伝子近傍のSMN2遺伝子もわずかにSMNタンパクを産生しているため,その残存コピー数が重症度に相関する.近年,その診療は大きく変化した.髄注核酸医薬品,経口低分子化合物,アデノ随伴ウイルスベクターを用いた遺伝子治療薬が相次いで承認され,いずれも運動・呼吸機能の改善を示している.今後は新生児スクリーニングの普及とともに,早期治療が標準化されると予想される.本稿では,SMAの病態生理を述べ,治療薬の作用機序を説明する.