The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
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脳損傷者の自動車運転能力評価におけるWAIS-Ⅲの予測妥当性の検証
岩井 慶士郎大熊 諒高橋 仁渡邉 修安保 雅博
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ジャーナル 認証あり 早期公開

論文ID: 20067

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抄録

目的:脳損傷者の自動車運転再開可否判定におけるWAIS-Ⅲスコアの予測能について検討し,カットオフ値を算出して臨床的な妥当性を検証することである.

方法:対象は,運転再開を希望し当院を受診した脳損傷者71名(運転再開群43名,運転非再開群28名)とした.まず,群間比較を行い運転再開可否判定に関連するスコアを調査した(Mann-WhitneyのU検定,有意水準5%).次に運転再開可否判定の予測精度を調査するためreceiver operating characteristic(ROC)解析を実施し,予測精度とカットオフ値を算出した.

結果:ROC解析の結果,曲線下面積が0.7(中等度の予測精度)を超えた項目は,全検査IQ(FIQ),動作性IQ(PIQ),群指数の知覚統合(PO)であった.そしてPIQが98.5,FIQが107,POが107を統計的なカットオフ値とした場合,特異度が高く(カットオフ値を超えると運転再開の可能性が高い),感度が低い(運転は控えるべき患者は見逃す可能性が高い)結果となった.

結論:WAIS-ⅢのFIQ,PIQ,および,群指数のPOのカットオフ値は,脳損傷者の運転再開の予測妥当性としては不十分であった.しかし,3つすべてのスコアが70未満である場合,運転再開に至らない確率は75%であり運転を控えるべき指標の1つとなることが示唆された.

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