論文ID: 25032
目的:重回帰分析の独立変数は連続変数である必要があるが,functional independence measure(FIM)小項目は段階数の少ない順序尺度である.独立変数にFIM小項目を用いた場合と入院時運動FIMおよび認知FIMを用いた場合の予測精度の違いは明らかでない.本研究は,回復期リハビリテーション病棟に入院した脳卒中患者を対象に退院時運動FIMを従属変数とした重回帰分析を行い,2つの方法の予測精度の違いを明らかにすることを目的とした.
方法:熊本機能病院の回復期リハビリテーション病棟を退院した脳卒中患者742例を対象とした.退院時運動FIMを従属変数とし,年齢,発症から入院までの日数,入院日数,入院時運動FIM,認知FIMを独立変数とした重回帰分析をA予測とした.入院時運動FIM,認知FIMの代わりにFIMの18小項目を用いた変数選択重回帰分析をB予測とした.A予測およびB予測における残差(実測値-予測値)の絶対値を算出し,Wilcoxon符号付順位和検定にて比較した.
結果:残差絶対値は,A予測で9.2±7.1(中央値7.9),B予測で8.4±6.9(中央値6.7)であり,B予測の方が有意に小さかった.
結論:FIM小項目を用いた変数選択重回帰分析は,入院時運動FIMと認知FIMを用いた重回帰分析よりも高い予測精度を示した.FIM小項目は,重回帰分析において有用である可能性があるが,段階数の少ない順序尺度であることを認識すべきである.