2025 年 14 巻 6 号 p. 325-329
症例は72歳,女性.呼吸困難を主訴に前医を受診し,肺炎を指摘され当院に紹介された.画像検査で両側肺炎を認め,呼吸不全のため集中治療室に入室した.鼻咽頭ぬぐい液を用いた多項目PCRおよび迅速抗原検査でヒトメタニューモウイルス(hMPV)陽性,喀痰培養で有意菌を検出せず,hMPVによる重症肺炎と診断した.挿管・人工呼吸管理下でのステロイドパルス療法および支持療法により軽快した.hMPVによる成人の重症市中肺炎の報告は少なく,貴重な症例と考え報告する.