日本胸部疾患学会雑誌
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セラペプターゼによる薬物性肺臓炎の1例
平原 克己斉藤 徹寺田 一郎宇野 勝次永井 明彦来生 哲荒川 正昭
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1989 年 27 巻 10 号 p. 1231-1236

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抄録
セラペプターゼによる薬物性肺臓炎の1例を報告した. 症例は69歳, 男性で, 感冒のためセラペプターゼを計16日間服用したところ, 咳嗽, 発熱, 呼吸困難が出現, 両側肺野にび慢性小粒状影が見られた. 薬剤を中止したところ, 臨床症状, 検査所見, 胸部X線所見は著明に改善した. 末梢血好酸球増多を呈し, 気管支肺胞洗浄では, リンパ球分画の増加とOKT4/T8の低下が見られ, 経気管支肺生検所見は間質性肺炎像を呈した. 白血球遊走阻止試験では, セラペプターゼに対し陽性を示し, 感作赤血球凝集試験では同薬剤に対する抗体が検出された. 以上より, セラペプターゼによる薬物性肺臓炎と診断した. 同薬剤による薬物性肺臓炎の第1例目の報告と思われる.
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