日本胸部疾患学会雑誌
Online ISSN : 1883-471X
Print ISSN : 0301-1542
ISSN-L : 0301-1542
限局性嚢状気管支拡張症と漏斗胸をきたした肺分画症の一切除例
小川 晴彦藤村 政樹西 耕一金森 一紀松田 保渡辺 洋宇野々村 昭孝北川 正信
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 27 巻 11 号 p. 1371-1374

詳細
抄録
症例は37歳, 女性. 微熱, 喀痰, 咳嗽を認め近医受診. 胸部X-Pで右下肺野に異常陰影を認めたため精査目的で当科に紹介入院. 胸部CT, 選択的気管支造影, 大動脈造影により, 限局性嚢状気管支拡張症と肺分画症の合併と診断し右下葉切除術を施行した. 術後の病理学的検索では, 分画肺に隣接して存在する右気管支 (B7b) が, 軟骨構造の欠如する細気管支より末梢で嚢状に拡張していた. また, その部位において, 肺胞の数は減少していたが肺胞自体は気腫性の変化に富んでいた. 一方, 本症例で認められた漏斗胸は, 陥凹の最強点が胸骨右縁第5肋骨上であり, 分画肺の存在する部位に近接していた. 本症例は, 分画肺の存在自体が, 生後の正常な呼吸運動を阻害したために, 隣接する固有肺や胸郭に大きな変形をもたらしたと考えられる興味ある症例である.
著者関連情報
© 日本呼吸器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top