日本胸部疾患学会雑誌
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急速な胸部X線所見の変化を捉えられた食道破裂の1症例
三上 正志中村 清一小関 隆兼村 俊範馬場 美智子藤川 晃成木原 令夫川原 穣長岡 滋
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1989 年 27 巻 5 号 p. 630-634

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抄録
67歳の女性が嘔吐, 胸痛, 呼吸困難を主訴に緊急入院した. 入院時の胸部X線上, 心陰影後方の縦隔内にニボーを伴う含気像がみられ, 左下葉の構造を外側へ圧排していた. これは限局性縦隔気腫像と考えられた. 胸部X線の経時的観察により発症後16時間の間に縦隔気腫, 皮下気腫, 気胸ならびに胸水貯留が順次, 出現した. ガストログラフィンを服用させた直後の胸部CTにより下部食道から縦隔への造影剤の漏出が観察され食道破裂と診断した. 発症23時間後に食道抜去法による食道切除, 食道胃再建術を施行したが, 腎不全を併発し術後45日目に死亡した. 本疾患は早期診断, 早期治療が要求され, その場合, 消化器症状に続いて生ずる呼吸器症状より本疾患をまず疑い胸部X線で限局性縦隔気腫像を捉えることが重要と考えられた. また, 確定診断にはガストログラフィンを用いた胸部CTが有用と考えられた.
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© 日本呼吸器学会
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