日本胸部疾患学会雑誌
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良性肺疾患における血清CA19-9の検討
高山 重光片岡 直之臼井 裕稲瀬 直彦名取 雄司中山 杜人三浦 溥太郎木村 雄二
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1990 年 28 巻 10 号 p. 1326-1331

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抄録

良性肺疾患における血清CA19-9上昇の臨床的意義について検討した. 良性肺疾患での血清CA19-9陽性率は42.3%であり, 特発性肺線維症 (IPF)で高率であった. 陽性例の64%が100U/ml以上の高値を示し, 膵胆道系悪性腫瘍と同等の高値を示しうると考えられた. 良性肺疾患の有無は血清CA19-9値を解釈する上で重要な要因であり, 免疫組織学的検討の結果から気管支腺および細気管支上皮の過形成をともなう病態において血清CA19-9の上昇をきたす可能性が考えられた. 血清CA19-9値は病状と平行して変動し, またゲル濾過による検討で特発性肺線維症患者血清中のCA19-9は肺癌患者血清中のものと異なる可能性が示唆されることから, 良性肺疾患における特異的な病状変化を示す指標となりうる可能性が示唆された.

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