1990 年 28 巻 5 号 p. 781-785
肺癌にホルモン産生腫瘍が存在することが知られている. 最近我々は human chorionic gonadotropin (HCG) 産生肺大細胞癌の2例を経験した. 症例は66歳と65歳の男性であるが, 経過中に両側女性化乳房を認めたため内分泌学的検査を施行し, 血中HCG, HCG-β, luteinizing hormone, estrone, estradiol, progesterone の上昇を認めた. 剖検肺での抗HCGウサギ血清をもちいた酵素抗体法により腫瘍組織内にHCGの産生を証明したので, 若干の文献的考察を加え報告した.