日本胸部疾患学会雑誌
Online ISSN : 1883-471X
Print ISSN : 0301-1542
ISSN-L : 0301-1542
高分解能CTで経過を追うことのできた急性ループス肺臓炎の一例
富井 啓介岩田 猛邦種田 和清郡 義明田口 善夫南部 静洋弓場 吉哲三野 真里柚木 由浩黒田 康正小橋 陽一郎
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 28 巻 5 号 p. 786-791

詳細
抄録

症例は43歳, 女性. 発熱, 呼吸困難を主訴に入院. 症状, 所見よりSLEと診断され, ステロイドパルス療法, 免疫抑制剤投与受けるが呼吸困難は増悪し, 入院約2ヵ月後死亡した. 高分解能CTで背側を中心に容積減少と air bronchogram を伴う高い濃度上昇域を認め, また経過とともに腹側へ広がる淡い濃度上昇域も認めた. 剖検時の進展固定肺標本では前者に相当する部分で無気肺, 強い線維化を認め, 後者に相当する部分では含気は比較的保たれたものの肺胞虚脱, 肺胞道拡張が目立った. 本例は病理学的には difruse alveolar damage と考えられ, 間質性肺炎から肺の線維化に至る過程で肺胞虚脱が大きく関わるとする考えによく合致するものと考えられた.

著者関連情報
© 日本呼吸器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top