日本胸部疾患学会雑誌
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Hermansky-Pudlak 症候群における間質性肺炎の検討
岡野 昌彦佐藤 篤彦千田 金吾早川 啓史岩田 政敏安田 和雅志知 泉須田 隆文小杉 伊三夫T. Maeda
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1991 年 29 巻 12 号 p. 1596-1602

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抄録
症例は33歳の女性. 乾性咳嗽と息切れを主訴に入院. 両親は血族結婚で, 白子症と胸部X線写真にてびまん性網状粒状影を認め, 出血凝固能は正常であったが, 血小板機能では, セロトニン含有量の低下とATP放出能の低下がみられた. 開胸肺生検で間質の線維化とセロイド様顆粒を貪食したマクロファージの集簇を認め, HPSに合併した間質性肺炎の1例と診断した. 種々の治療にもかかわらず約1年後に呼吸不全にて死亡した. HPSに伴う間質性肺炎の特徴は, 30~40歳代に発症し, 胸部X線では上, 中, 下肺野の区別なく, 胸膜直下よりも内側に網状線状陰影を呈し, 進行すると上肺野に嚢胞陰影を形成するが, 肺容積の減少は少ない. 予後は, 肺病変発現後, 1~6年の経過で呼吸不全の進行により死亡する例が多く, ステロイド治療は無効であった.
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