日本胸部疾患学会雑誌
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原発性肺クリプトコッカス症における肺肉芽腫病巣の免疫組織化学的解析
宮崎 英士津田 富康鬼塚 徹
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1991 年 29 巻 4 号 p. 444-451

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抄録
基礎疾患を有さない原発性肺クリプトコッカス症の肺病巣組織に対し, 各種モノクローナル抗体を使用して免疫組織化学的に詳細に検討した. 光顕像では, 中心部に巨大な壊死組織がみられ, その周囲に典型的な類上皮細胞肉芽腫が多数認められた. 病巣部にはTリンパ球が散在性に分布し, そのうちOKDR (+), γ-IFN (+), 1L-2R (+) を示す活性化リンパ球の存在が認められた. CD4/CD8比は2.0で, CD4優位の浸潤を示し, 肉芽腫形成にCD4陽性細胞優位であることが重要な条件と考えられた. また, 肉芽腫近傍には, CD21 (+), CD24 (+), s-IgD (+) 及びs-IgM (+) を示すBリンパ球の集団が認められ, 病巣局所でのBリンパ球の増殖が考えられた. 病巣周囲の肺胞腔内肺胞マクロファージはCD11 (+), CD36 (-) を呈し, その一部はIL-1 (+) を示した. 一方, 類上皮細胞もCD11 (+), CD36 (-) を示し, 一部はIL-1 (+), IL-2R (+) を示した. また, CD1陽性に染まるランゲルハンス巨細胞が散在性に認められた.
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© 日本呼吸器学会
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