日本胸部疾患学会雑誌
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緑膿菌の血清感受性と呼吸器病原性に関する研究
苑田 文成大石 和徳田中 宏史三和 秀明小林 忍永武 毅松本 慶蔵
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1991 年 29 巻 6 号 p. 703-709

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抄録

呼吸器病原性緑膿菌における血清感受性の臨床的意義を明らかにするため, 呼吸器病原性緑膿菌の血清感受性と分離菌の臨床背景, さらに健常及び好中球減少マウス実験肺炎を場に, 緑膿菌の血清感受性と呼吸器病原性との関係について検討を加えた. 臨床的に重篤な肺炎の起炎菌は血清抵抗性株であり, これらは健常マウス実験肺炎モデルを場とするLD50および肺組織の比較において高い病原性を示した. 特に, 好中球減少マウスにおいて血清抵抗性株の呼吸器病原性は著しく高まった. これに対し, 血清感受性株は慢性気道疾患に伴う緑膿菌持続感染患者の喀痰からのみ分離された. これらの血清感受性株は健常マウス実験肺炎モデルにおいては比較的低い病原性を示した. この緑膿菌の血清感受性は, 緑膿菌より抽出したリポ多糖 (LPS) のSDS-PAGEによる解析から, 緑膿菌LPSの0側鎖の欠落あるいは0側鎖の粗な立体構成によって決定されることが推定された.

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