日本胸部疾患学会雑誌
Online ISSN : 1883-471X
Print ISSN : 0301-1542
ISSN-L : 0301-1542
骨髄異形成症候群患者に発症したレジオネラ肺炎の1症例
坪井 永保成井 浩司中谷 龍王中森 祥隆中田 紘一郎武藤 良和杉 裕子
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 30 巻 12 号 p. 2112-2117

詳細
抄録

骨髄異形成症候群 (以下MDS) 患者に発症したレジオネラ肺炎の1治癒例を報告する. 症例は40歳, 男性で高熱, 咳嗽を主訴に入院した. 左中下肺野末梢の浸潤影が急速に拡大し, それに伴い血液ガス所見も悪化した. 当初 Cefmenoxime, Piperacillin, Minocycline による治療を行ったが奏効せず, レジオネラ肺炎を疑い Rifampicin を開始した. しかし陰影拡大するため, 抗真菌剤, ST合剤も加えた. その後徐々に病状改善したが, 入院4日目の喀痰より Legionella pneumophila が入院10日目に分離され本症と確診した. 以後 Rifampicin 内服と混合感染予防の目的で Cefmenoxime を併用して良好に経過した. 本症例はMDSに対しステロイド剤が投与されており, compromised host に発症したレジオネラ肺炎である. 肺炎治癒後, 結核性胸膜炎, ニューモチスティスカリニ肺炎を発症し, それぞれ抗結核薬, ST合剤にて治癒した. しかし, その後急性肝炎から肝不全となり入院121日目に死亡した.

著者関連情報
© 日本呼吸器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top