日本胸部疾患学会雑誌
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タバコ喫煙による血漿抗エラスターゼ活性と, フェロキシダーゼ活性の低下をプロブコールは阻止する
貴志 洋一石崎 武志高橋 秀房飴島 慎吾佐々木 文彦中井 継彦宮保 進
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1992 年 30 巻 4 号 p. 585-592

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抄録

本研究で, 我々は高脂血症治療薬であるプロブコールのタバコ喫煙による抗エラスターゼ活性 (EIA) と, フェロキシダーゼ活性 (FA) の低下に与える影響を, ラットを用いて検討した. タバコ5本 (ニコチン11mg・タール115mg相当) をラットを入れたプラスチック容器内に吸入すると, 血漿COHb値はすみやかに17.9±2.7%にまで上昇し, 2時間後EIAは平均値で82.1±4.4%に低下 (p<0.05) し, FAも平均値で85.2±1.9%に低下 (p<0.05) し, この傾向はタバコ喫煙後6時間持続した. 一方1%プロブコール含有飼料で3日間, あるいは4週間飼育した群では, 両活性とも低下せず, 肺組織および血中過酸化脂質の増加も軽度で, 肺組織グルタチオン (還元型/酸化型比) も保持されていた. なお, プロブコール3日間投与群では, 血漿コレステロールの低下をみず, プロブコールは抗酸化作用によりタバコ喫煙肺障害を防ぐと思われた.

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