日本胸部疾患学会雑誌
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A型インフルエンザ (H3N2型) に合併した組織侵入型気管支肺アスペルギルス症の1例
小林 理関谷 政雄斎藤 元
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1992 年 30 巻 7 号 p. 1338-1344

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抄録
アルコール多飲の49歳男性が, 感冒様症状出現1週間後, 肺炎を指摘され治療受けたが改善せず, 進行性の為入院となった. 胸部レ線上, 肺炎様陰影の他に結節影と一部に空洞化を認めた. 気管支粘膜は白苔に被われており, 後日気管支肺胞洗浄液より Aspergillus fumigatus (A. fumigatus) が培養された. 入院時血清でA型インフルエンザウイルス抗体価 (CF) が256倍と上昇し, HIでH3N2型が2,048倍と上昇していた. A型インフルエンザに合併した組織侵入型気管支肺アスペルギルス症を疑い様々な抗真菌剤使用したが効なく, 呼吸不全の為死亡した. 組織学的に, 気管支内腔ならびに周囲の肺実質へのアスペルギルス菌糸の侵入像を認めた. 保存血清によるアスペルギルス抗原との沈降抗体は陽性であった. 本症例の場合, インフルエンザウイルス感染による細胞性免疫の低下状態と, 気道線毛系の障害が, 浸潤性アスペルギルス症の発症に関与したと考えられた.
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