抄録
本研究の目的は, 無気肺の血流減少の機序に肺容積の減少が関与するかの解明である. 実験は雑種成犬を用いた. 開胸側肺の主気管支を閉塞した状態で, 虚脱肺と窒素による含気を保ったままの肺との肺血流量の変化を比較検討し以下の結論を得た. 1) 主気管支の閉塞による気道肺胞系の低酸素分圧状態で, 肺内含気量を変化させても肺血流量は変化しなかった. 従って虚脱肺の肺血流量の変化は, 肺容積の減少によるものではない. 2) 虚脱肺に酸素を注入して気道肺胞系の酸素分圧を上昇させると肺血流量は増加した. それに続く酸素の吸収による肺虚脱とともに肺血流量は減少した. 従って肺血流量の変化は, 肺胞内の酸素分圧の変化によるものである. 3) 無気肺の血流減少は, 低酸素性肺血管収縮に起因し, 肺虚脱による肺容積の減少は関与しない.