日本胸部疾患学会雑誌
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高齢者気管支喘息の剖検肺における気道病変の検討
青木 薫大坪 浩一郎吉村 邦彦斎木 茂樹田井 久量岡野 弘
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1995 年 33 巻 12 号 p. 1421-1429

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抄録

生前気管支喘息と診断された高齢者における気道の病理組織学的特徴を明らかにするため, 死後剖検を行った気管支喘息13症例 (57歳の1例を除き他はいずれも70歳以上) を発作窒息死群, 発作合併症死群, 非発作合併症死群の3群に分け, 中枢および末梢気道の気管支壁の形態像の定性的, 定量的検討を行った. 発作窒息死群においては非喘息コントロール群と比較して区域気管支, 亜区域気管支のいずれのレベルでも, a) 平滑筋の肥厚, b) 気管支腺の肥大と増生, c) 基底膜の肥厚の程度が有意に高度であった. さらに同群では末梢気道に至るまで気管支壁に著明な好酸球, リンパ球の浸潤を認めた. また基底膜の肥厚は明らかに非可逆的な変化と考えられたが, さらに発作の重症度を最もよく反映するのは平滑筋の肥厚であることが示唆された. 高齢者の重積発作による窒息死は近年増加傾向にあることが指摘されているが, 組織学的には若年者とほぼ同様な所見を呈するものと考えられた.

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