1995 年 33 巻 12 号 p. 1436-1440
症例は40歳男性. 生来健康. 発熱および全身の典型的水痘疹を認め, 急性呼吸不全にて入院. 胸部X線像では両肺野にびまん性の結節状陰影を認め, 動脈血ガス分析にて著明な低酸素血症を認めた. 家族歴, 抗体価, 皮疹, 胸部X線像より原発性水痘肺炎と診断し, 経気管支肺生検にてウイルス性肺炎を示唆する肺間質性病変を確認した. ステロイド大量投与, アシクロビルおよび免疫グロブリン製剤を使用し, 症状, 低酸素血症, 水痘疹は改善したが, 第60病日にも胸部X線上の網状陰影の残存が認められた. 成人の原発性水痘肺炎では時に重症化して急性呼吸不全を呈することがあり, また陰影が長期残存することがあるため適切な治療と経過観察が重要である.