肺疾患における foam cell 化肺胞マクロファージの病態とその出現機序を解明するため, 各種肺疾患を対象としてBALF中の foam cell 化マクロファージの電顕的観察ならびに白色家兎を用いて実験的検討を行った. 1) 健常者18名, 慢性気管支炎7例, 肺線維症8例, 陳旧性肺結核7例, 肺癌20例, 気管支拡張症5例の計65例についてBALF中のマクロファージを電顕にて撮像した. 1例あたり30個以上のマクロファージについて, 細胞質に対する泡沫の占める割合を, エリアカーブメータを用いて算出し, Type I: 80%以上を占めるもの, Type II: 20~79%を占めるもの, Type III: 20%未満のものに分類した. 陳旧性肺結核, 肺癌ならびに気管支拡張症では, Type Iのマクロファージの増加が認められ, 他の肺疾患に比して foam cell 化が進んでいた. 2) 気道閉塞ならびに脱血灌流した白色家兎の実験から, 家兎肺胞マクロファージは血液単球に由来する可能性が示唆された.