1996 年 34 巻 11 号 p. 1271-1276
症例は, 副鼻腔炎の手術歴のある喫煙歴のない62歳, 男性. 労作時呼吸困難と6年に及ぶ咳, 痰を主訴に来院. 両側下肺野に coarse crackle と rhonchi を聴取し, 寒冷凝集素の上昇と肺機能上閉塞性障害がみられ, 喀痰から H. influenzae が検出された. 胸部X線とCTで, 両側下肺野を中心として小葉中心性の粒状陰影と軽度の細気管支拡張と過膨張所見を認めた. 臨床所見からDPBを疑い胸腔鏡下肺生検を行ったところ, 膜性細気管支は粘膜下の線維化と炎症により狭窄ないし閉塞しており, 閉塞性細気管支炎と診断した. 外来でクラリスロマイシン (CAM) 投与中の生検1年2ヵ月後にRAを発症し, 本症を先行病変としたRAと考えた. 現在, CAMの継続投与で呼吸器症状, X線画像, 肺機能の改善が得られている. 閉塞性細気管支炎は一般的に急速に進行する予後不良の疾患とされており, CAMが本症の治療薬となりうるのか, 今後の検討が待たれる.