日本胸部疾患学会雑誌
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ステロイド投与が有効であったマイコプラズマ急性細気管支炎の1例
増本 英男飯干 宏俊脇坂 ありさ谷口 治子芦谷 淳一伊井 敏彦迎 寛松倉 茂
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1996 年 34 巻 11 号 p. 1277-1282

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抄録

症例は52歳, 女性. 急に咳嗽, 高熱, 喘鳴, 呼吸困難が出現. ペニシリンやセフェム系抗生剤に反応なく, 緊急入院となった. 室内空気下でPaO249.8Torr. 胸部X線では小粒状影, 胸部CTではびまん性に小葉中心性の微少結節と気管支壁の肥厚を認めた. マイコプラズマによる急性細気管支炎を疑い, ミノサイクリンを開始後, 胸部CT上の小結節は消失した. その後血清学的にマイコプラズマ感染症と診断できたが, 低酸素血症が遷延し, 閉塞性換気障害の存在 (1秒率62.8%), 換気血流シンチの異常などより, 閉塞性細気管支炎への進展を疑った. TBLBや気管支造影では確診は得られなかったが, メチルプレドニゾロン1g 3日間, その後プレドニゾロン40mg/日投与により低酸素血症, 肺機能, 換気血流シンチは改善した. 閉塞性細気管支炎への移行が疑われ, 早期のステロイド投与が有効であったマイコプラズマ急性細気管支炎の1例を報告した.

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