日本胸部疾患学会雑誌
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化学発癌の疫学から肺癌の分子生物学まで
山木戸 道郎
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キーワード: 肺癌, 毒ガス, BRM, 予後, 遺伝子治療
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1996 年 34 巻 11supplement 号 p. 8-12

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抄録

瀬戸内海に位置する大久野島では, 大戦中毒ガスが製造されていた. 当科では, この工場の旧従業員に, 気道癌をはじめとする各種の悪性腫瘍が多発すること, その発生部位は上気道から肺門部にいたる中心型であり, 扁平上皮癌と未分化癌が多いことを指摘してきた. N-CWSを用いた免疫学的癌予防の可能性を検討したところ, 発癌率の低下が認められた. 毒ガス傷害者の肺癌組織における遺伝子異常を一般の肺癌と比較検討したが, 現在までに特徴的な変化は認められていない.
肺癌の新たな抗癌戦略の探求として, 肺癌臨床検体を用いた遺伝子解析および無限増殖に必要なテロメラーゼ活性の解析などによる肺癌の生物学的性質の把握に取り組む一方, 抗癌剤の血中濃度のモニタリングによる化学療法の効果, 副作用の推察, さらに将来の治療戦略としてアデノウイルスベクターを用いた遺伝子治療の可能性も検討している.

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