日本胸部疾患学会雑誌
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小柴胡湯による急性好酸球性肺炎の1例
小橋 吉博中島 正光二木 芳人松島 敏春
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1997 年 35 巻 12 号 p. 1372-1377

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抄録

症例は16歳, 男性. 咳嗽, 咽頭痛が出現したため, 感冒と思い, 市販の総合感冒薬を内服していたが, 翌日から咳嗽が増強, 発熱, 喀痰, 呼吸困難感も伴うようになった. 2日後の胸部X線で両肺野に広汎な浸潤影を認め, 入院となった. 検査上, 著明な低酸素血症, 好酸球増多を伴う白血球の増加, 画像上は逆肺水腫型の浸潤影を認めたため, 臨床的に薬剤性肺臓炎を疑い気管支鏡検査を施行した. 経気管支肺生検では肺胞腔内に著明な好酸球浸潤およびフィブリン析出があり, 好酸球性肺炎に合致した組織所見で, 気管支肺胞洗浄では好酸球が細胞成分の50%と著明な増加をとっていた. リンパ球刺激試験では小柴胡湯のみが陽性を示し, 同剤による薬剤性肺臓炎と推察した. 推定原因薬剤の中止およびステロイド剤の投与により臨床症状, 低酸素血症, 胸部X線写真の改善を認めた. 市販の総合感冒薬に含まれていた小柴胡湯による急性好酸球性肺炎と考えられた症例を経験したので報告した.

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