1997 年 35 巻 12 号 p. 1425-1429
血清腫瘍マーカー (CA19-9, CA125, NCC-ST-439) が高値を示した39歳, 女性の肺葉内肺分画症の1例を経験した. 病巣は左S10に存在し, 胸部大動脈からの異常動脈が流入していた. 病巣切除後, 術前高値を示した腫瘍マーカー (CA19-9 2,418U/ml, CA125 50.3U/ml, NCC-ST-439 13.0U/ml) は次第に低下し正常値に復した. CA19-9の血中半減期は約7日であった. CA19-9は分画肺の気管支上皮細胞で産生されていることを免疫組織化学で確認した. 肺分画症では時としてCA19-9が異常高値を示すことがあり診断の一助となると思われる.