日本胸部疾患学会雑誌
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周囲に浸潤しながら拡大していった肺アスペルギローマの1例
中川 義久島津 和泰蛯原 桃子阿萬 久美子
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1997 年 35 巻 12 号 p. 1430-1433

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抄録

症例は60歳の女性. 陳旧性肺結核の胸部レントゲン経過観察中であった. 昭和55年までは右上肺野に肺結核による硬化像と小空洞を認めるのみであったが, 昭和59年頃より空洞内に菌球像を認めるようになった. その後, 菌球周囲の硬化像が増悪し, その後浸潤影が出現, 菌球が不鮮明になり, 一過性に血中アスペルギルス抗原が陽性となり平成8年には巨大な菌球像へと成長した. 本症例はアスペルギルスによる菌球が直接, 周囲に浸潤しながら空洞壁を破壊し, 成長していったものと考えられ, 長期にわたり経過を観察し得た貴重な症例と考えられた.

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