日本胸部疾患学会雑誌
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悪性胸膜中皮腫の腫瘍マーカーとしての組織ポリペプタイド抗原の有用性
徳山 猛岡本 行功濱田 薫米田 尚弘成田 亘啓田村 猛夏北村 和道丸山 博竹澤 祐一山田 雄三
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1997 年 35 巻 6 号 p. 609-615

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抄録

悪性胸膜中皮腫におけるTPAの腫瘍マーカーとしての意義を検討する目的で, 悪性胸膜中皮腫症例の血清TPA値を測定し, 組織中TPAを免疫組織学的に検討した. 悪性胸膜中皮腫16例中14例 (85%) の高率にTPA染色陽性を示した. 腫瘍細胞を形態学的に上皮様細胞と肉腫様細胞との2群に分け, TPA染色性を検討したところ, 上皮様腫瘍細胞は, 12例中11例 (91.7%) TPA染色陽性, 肉腫様腫瘍細胞は, 8例中7例 (87.5%) に陽性を示した. 血清TPAは9例中8例に高値で, 臨床病期がI期の3例中2例で診断時血清TPAは正常で, II期以上の全症例は高値であった. 血清TPAは腫瘍の増大とともに上昇した. 以上から悪性胸膜中皮腫細胞は高率にTPAを含有し, 血清TPAは悪性胸膜中皮腫の腫瘍マーカーとして有用であると考えられた.

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