日本胸部疾患学会雑誌
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各種胸膜炎における胸水中コラーゲン (PIIIP, タイプIVコラーゲン7S) 値の検討
土屋 良記西川 満則岩本 公一桐岡 智二野口 雅弘渡辺 篤西脇 敬祐野崎 裕広中根 幸雄
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1997 年 35 巻 6 号 p. 622-626

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抄録

胸腔内での線維化の機序を検討する目的で胸水中のタイプIIIプロコラーゲンNターミナルアミノペプチド (PIIIP) 値とタイプIVコラーゲン7S値の検討をした. 対象は, 炎症性胸水16例 (結核性5例と肺炎随伴性11例), 癌性胸水24例である. 胸水中PIIIP値とPIIIP/タイプIVコラーゲン7S比値の2つでは, 癌性群においては炎症性群に比べ有意に低下していた (p<0.01). しかし胸水中タイプIVコラーゲン7S値では, 両群間に有意差は認められなかった. PIIIP/タイプIVコラーゲン7S比値では, 結核性において肺炎随伴性に比べ有意に高かった (p<0.05). 胸腔内では, 癌性に比べ炎症性時にタイプIIIコラーゲンの産生が増加しており, その産生が強いほどより線維化が促進されるが, 基底膜傷害の程度は, 両者ではあまり差が無いと考えられた. 今後, 胸水中PIIIP値とPIIIP/タイプIVコラーゲン7S比値の測定が, 癌性, 炎症性胸水の鑑別で, さらに後者は肺炎随伴性と結核性の鑑別にも有用と考えられた.

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