日本放射線技術学会雑誌
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米国の 4 年制放射線技術教育
稲本 一夫
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1990 年 46 巻 4 号 p. 650-659

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抄録

1) 米国の4年制医療技術学部11校(州立7, 私立4)の資料提供を受け調査を行った.2) 学部の名称の多いものとしては, 保健関連職業(Health Related Professions, Allied Health Professions)である.3) 米国では放射線技術は, 放射線撮影, 核医学, 放射線治療の3部門につき, ARRTが試験を行いそれぞれ資格認定を行っているが, 有資格者のうち放射線撮影技師が91%を占める.4) 11大学の分析では, 放射線撮影のBS教育プログラムは全校にあるが, 核医学は4校, 治療は1校にあるに過ぎない.5)超音波など新しい画像技術の資格を同時にとれるようにした画像診断技術学科がトーマス・ジェファソン大学にみられる.6) 放射線撮影コースのプログラムが, 一般, 教育, 経営の3コース, または2コースに分かれているのが5校でみられる.経営コース, 教育コースを2年卒の有資格者のために開設している例もある.7) ARRTで指定されているカリキュラムは学科目のみで, 時間数は定められていない.指定科目の他に画像診断の進歩に呼応した学科目や, 経営, 教育に関したものも多い.カリキュラム編成に各大学の独創性をみることができる.8) 核医学技術, 放射線治療技術のプログラムでは, それぞれ臨床的に深い教育内容を有している.9) 超音波技術は別個の資格となっているため, 放射線撮影技師資格者が追加取得できるようなコースが設定されていたり, 画像診断技術学科の中で複合的に資格取得できるよう, カリキュラムが組まれている大学もある.10) 2年制卒業者の編入学は単位認定, コース選択の面でよく配慮され, 働きながら単位取得ができるようになっている.11) 米国の4年制放射線技術学科の大半を占める撮影技術の4年制コースの特色は, 経営, 教育などのコースや, 超音波などの新しい画像診断技術を教え, 卒業後, 放射線技師長, 放射線技術教育者, 画像診断技術の高度技術者として育っていく人材の育成にあると言える.

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© 1990 公益社団法人 日本放射線技術学会
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