日本放射線技術学会雑誌
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放射線治療に於ける画像の利用 : I. 治療計画に於ける画像の利用
古家 輝夫
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1993 年 49 巻 5 号 p. 707-712

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抄録

放射線治療の方向として局所制御率を良くするとともに治療後の正常組織の障害を少なくすることが挙げられており, 治療成績とともに治療の質が問題となっている.このため照射方法が複雑化・多様化しており, 多門照射, 原体照射, ステレオタクティック照射等が用いられるようになった.この目的のため治療計画では正確な標的領域の設定, 正確な線量計算が必要とされ, 多くのモダリティの画像を有効に利用した方法がとられている.治療計画の最適条件の設定は経験的に治療パラメータを変えて線量分布図を見ながら決められている.今後治療計画の評価は視覚的に評価する方法から, DVHを用いたTCP (Tumor control probability), NTCP (Normal tissue complication probability)等の計算による評価が試みられている.これらの方法は治療計画の数値的な評価方法として今後確立されて行くとおもわれる.放射線治療のこのような進歩の要因として画像の利用が大きな役割を担っている.治療計画にとってCTはなくては成らないものとなっており, その他の画像を積極的に用いる方法について色々な報告がある.このような画像の利用は最近のコンピューターの発達と表裏いったいとなっており, ハードウェア, ソフトウェアの開発, 発展がささえている.ここで報告した内容に関してはまだ十分対応する治療計画装置は市販されていないが, 今後色々な画像を有効に利用した装置が開発されていくものと考える.このような治療計画では各段階に於いて画像とその関連情報が発生し, 表示され, 記録され, 又, 患者データ, フォローアップデータ, 等も統合してファイルされる必要がある.データは各部署の間の通信が必要となり, 院内のみならず施設間でのネットワークを構築して分析を行い治療の向上に役立たせるようなシステムを作り上げる必要がある.このためには画像規格の統一, 標準化を伴うハードウェアー, ソフトウェアーの開発とともに, 通信方式, インターフェースなどについての規格の統一, 標準化が望まれる.最後に本シンポジュウムの発表の機会を与えて頂いた放射線治療分科会の森分科会長をはじめ委員の方々にお礼を申し上げます.

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© 1993 公益社団法人 日本放射線技術学会
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