日本放射線技術学会雑誌
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現場における保守管理の進め方 : 当院における管理プログラム実施の状況
奥村 雅彦
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1994 年 50 巻 6 号 p. 771-777

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抄録

管理プログラムの実行にあたり, 次の事項を考えた.1.管理プログラム実行の持続性を考え, スタッフの負担軽減を重要視した.2.各点検項目を合理的に組み合わせる.3.Dynascanシステム (水ファントム)およびQCツールの使用により短時間で複数の項目の測定が可能となる.また, 毎回の測定の再現性が保たれ, 精度管理が可能になる.4.管理プログラムの目的を理解する事で, より簡略化できる.これらを目標に, 現在実行しているが, 問題点, 注意点もある.1.現在のシステムでは, 線量プロフィールの対称性および平坦度, ならびに架台角による深部量の安定性における架台角が0度以外の測定は, 困難である.2.附属機器であるwedge filter, シャドートレーの透過率, 遮蔽ブロックの透過率は, エネルギー変化が認められた時に測定を必要とされているが, 年1回のチェックはエネルギー変化の有無に関わらず必要と考える.3.管理プログラムを実行するにあたり, 装置に過剰な負荷をかけないように注意する必要がある.今後, 管理プログラムを続行するにあたり, 1) 装置間の互換性を考えたQCツールの開発2)放射線治療関係者以外への理解, 啓蒙の必要性3)行政面等による強制力の必要性4)装置管理に対する意識の向上と自覚, 情熱が必要と考える.

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© 1994 公益社団法人 日本放射線技術学会
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