日本放射線技術学会雑誌
Online ISSN : 1881-4883
Print ISSN : 0369-4305
ISSN-L : 0369-4305
インバータ式 X 線装置の現状と諸特性について
安部 真治青柳 泰司小倉 泉加藤 洋上遠野 昭木村 達小林 一郎佐々木 理根岸 徹萩原 明宮崎 茂矢野 太
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 50 巻 9 号 p. 1651-1677

詳細
抄録

1980年代においてインバータ式X線装置の普及はMRI, DSA, CRとともに, まさに新世代医用機器の幕開けの時代ともいえる.現在のインバータ式X線装置はかなり高精度となり, 省エネルギー, 小形軽量化の時代の要求とともに今後益々の普及発展が見込まれる.初期のインバータ式X線装置では従来の装置と比較しそれほど著しい向上は見られなかったが, 最近の装置ではほとんど定電圧で高精度のものとなっている.循環器用装置や乳房撮影装置などでの一部の問題点を除き全般的には従来の装置に比較し諸特性は著しく向上している.しかし, 現在方形波, 共振形各種の装置が混在し, 装置によっては負荷条件により短時間特性, リプル百分率などかなり異なるものもあるため装置の特性を十分に把握して使用することが必要である.また, 半導体制御素子の開発と共にインバータ周波数はさらに高くなる可能性があり, 管電圧の脈動解析やノイズに対する誤動作などの点でインバータの高周波化に対応できるX線装置計測機器の開発が早急に望まれる.インバータ式X線装置の変遷・原理から現状の諸特性・問題点について報告した.なるべく簡潔でわかりやすくを心掛けたつもりであるがインバータ式X線装置についてより理解を深めていただければ幸いである.また, 今回インバータ式X線装置全般についての現状について報告したがあまりに広範囲で装置の種類も多いため一年間の検討ではすべてに満足の行く検討は出来なかったと反省している.インバータ式X線装置はさらに普及発展するものと思われるが, 今後検討する機会があれば一般撮影, 循環器, 移動形, 集団検診用などテーマを一つに絞って検討した方が最善と思われる.各項目についてもっと詳しく報告したいが紙面の都合もあり詳細については本学会の叢書としてまとめたいと考えている.最後に, 本検討班について終始ご助力, ご助言をいただきました斎藤一彦氏, 測定, 資料などに多くのご協力, ご理解いただきました各病院, メーカ及び関係各位に感謝致します.

著者関連情報
© 1994 公益社団法人 日本放射線技術学会
前の記事 次の記事
feedback
Top