2024 年 80 巻 11 号 p. 1124-1134
【目的】本研究は胸部動態ファントムを用いて,3種類の腫瘍呼吸性移動量評価法の計測精度および時間効率性を比較した.【方法】計測には,腫瘍径,腫瘍移動量,アーチファクトの有無を変化させた計12パターンの4DCT画像を用いた.治療計画装置(RTPS)で各位相画像上の腫瘍を手動描出する方法(RTPS[Manual])と,腫瘍の輪郭を変形複製することにより自動描出する方法(RTPS[Auto])および専用ソフトウェア(Simple 4D Analysis Ver.1.3.1:トライアングルプロダクツ,千葉.以下,Simple 4D)を用いて,ファントム移動量に対する計測差を求めた.【結果】アーチファクトのない画像における頭尾方向の計測差(平均±standard deviation: SD)は,RTPS(Manual),RTPS(Auto)およびSimple 4Dのそれぞれで−0.6 mm±0.6 mm,−5.0 mm±2.2 mm,−1.0 mm±0.0 mmだった.また左右前後方向は,すべての方法で1 mm以下だった.更にSimple 4Dにおける作業時間は,他の手法に比べ短縮した.【結語】Simple 4Dは,RTPS(Manual)と同等の計測精度を有し,かつ他の手法に比べ時間効率性の向上を示したことから腫瘍呼吸性移動量解析に有用であった.