論文ID: 2022-1222
【目的】実際のcomputed tomography(CT)装置で得られる画像を模して,コンピュータ上で画像を生成するCT画像シミュレーションを簡易に実施する手法を考案する.【方法】考案法では,CTのデータ収集および画像再構成の過程を数値計算により再現することで,被写体を想定して作成した線減弱係数マップからシミュレーション画像を生成した.これは従来のCT画像シミュレーションと同様の手順であるが,考案法では新たに計算過程に調整パラメータを導入した.これはX線管陽極やボウタイフィルタによる減弱の量などを調整するものである.調整パラメータの値は,水ファントムを想定したシミュレーション画像が実際のCT画像と類似するように最適化した.人体ファントムのシミュレーション画像とCT画像を比較し,考案法の妥当性を検証した.【結果】人体ファントムのシミュレーション画像はCT画像とよく類似した.空間分解能とノイズ特性もよく一致したことから,考案法の高い精度が示された.【結語】従来の手法ではさまざまなCT装置の情報が必要であったが,考案法では取得が難しい情報に代わり,調整パラメータを導入した.これにより,考案法は従来の方法よりも簡易に実施できると考える.