日本臨床外科学会雑誌
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症例
S状結腸原発悪性線維性組織球腫の1例
重川 崇石黒 めぐみ上野 秀樹橋口 陽二郎望月 英隆
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2007 年 68 巻 1 号 p. 125-130

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抄録

悪性線維性組織球腫 (malignant fibrous histiocytoma ; MFH) は四肢に好発する軟部腫瘍で, 大腸原発例は極めて稀である. 今回われわれは, S状結腸より発生し, イレウスの原因となったMFHの1切除例を経験した. 症例は55歳, 女性. 体重減少, 下腹部膨満感を主訴に当院内科初診後, 当科紹介受診. 腹部X線にてイレウス所見を呈しており, 同日緊急入院となった. 大腸内視鏡下にて経肛門的に減圧チューブを挿入し口側腸管を減圧後, 開腹手術施行. S状結腸を主座とした可動性のある, 表面平滑な腫瘤を完全に摘出した. 病理診断はS状結腸粘膜下原発のMFHで切除断端は陰性あった. 大腸原発のMFHはわれわれが検索しえた範囲ではこれまでに本症例も含めて22例の報告があるのみである. 化学療法および放射線療法の有用性は不明であるため補助療法は施行していない. 現在術後5カ月であるが、無再発生存中である.

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© 2007 日本臨床外科学会
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