日本臨床外科学会雑誌
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症例
直腸GISTのリンパ節再発に対しメシル酸イマチニブが奏効した1例
高瀬 恒信原田 明生矢口 豊久梶川 真樹中山 茂樹
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2007 年 68 巻 1 号 p. 131-135

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抄録

直腸間質腫瘍 (gastrointestinal stromal tumor : 以下GISTと略記) の切除1年7カ月後に閉鎖リンパ節再発を生じメシル酸イマチニブが奏効した1例を経験した. 症例は62歳の男性で, 主訴は肛門部痛. 腹部CT, MRIで下部直腸, 肛門管に管腔を圧排する径7cmの腫瘍を認めた. 経肛門的生検にて紡錘形細胞の発育を認め核分裂像が散見されることよりGISTを疑い2001年2月に腹会陰式直腸切断術を施行した. 切除標本の免疫染色にてc-kit陽性, 直腸原発のGISTと診断した. 1年7カ月後に右臀部から大腿内側に放散する閉鎖神経圧迫症状が出現しMRIにて右閉鎖リンパ節再発と診断した. 2003年4月よりメシル酸イマチニブ400mg/日を投与開始したところ6カ月後に腫瘍は縮小し自覚症状も改善した. 直腸GISTのリンパ節再発は稀であるがメシル酸イマチニブが有効であると考えられた.

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© 2007 日本臨床外科学会
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