日本臨床外科学会雑誌
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症例
明細胞型肝内胆管癌の1例
太田 竜黒木 信善古賀 浩木田中 聡也北原 賢二
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2007 年 68 巻 1 号 p. 179-183

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抄録

症例は73歳, 男性. 腹痛あり近医を受診. CEA, CA19-9高値を指摘され, 精査目的にて紹介となった. 腹部超音波, 腹部CT検査にて肝左葉に8cm大の腫瘍を認めた. MRCPでは, 左肝管が腫瘍により狭窄し, 末梢の肝内胆管は拡張していた. 血管造影では明らかな腫瘍濃染像はなく, 門脈左枝に浸潤が疑われた. 以上より左肝内胆管癌の診断にて肝左葉切除術, リンパ節郭清を施行した. 腫瘍は8×6cm大, 白色調で硬く比較的境界明瞭であった. 内部不均一で被膜の形成はなかった. 病理組織診では, PAS陽性の淡明な胞体を持つ腫瘍細胞を認め, 明細胞型肝内胆管癌の診断であった. 免疫組織染色ではCA19-9, cytokeratin19およびSudan IIIが陽性であった. 明細胞型肝内胆管癌は極めて稀な肝腫瘍であり, 若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2007 日本臨床外科学会
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