2007 年 68 巻 1 号 p. 72-75
今回われわれは, 胃癌を合併した皮膚筋炎の4例を経験したので報告する. 症例1は皮膚筋炎診断後, 9年目に検診で発見された早期胃癌で, 術後皮膚筋炎の病状変化なく, 無再発生存中である. 症例2は間質性肺炎を契機に診断された胃癌合併皮膚筋炎で, 術後間質性肺炎の増悪を認めるも, ステロイドにて軽快し, 現在無再発生存中である. 症例3, 4はともに皮膚症状にて診断された胃癌合併皮膚筋炎で, 症例3は術後に皮膚筋炎症状の改善なく, 術後160日目に死亡, 症例4は術後皮膚筋炎の症状軽快するも, 術後2カ月で多発性肝転移出現し, 術後248日目に死亡した. 悪性腫瘍合併皮膚筋炎は悪性腫瘍切除後に症状軽快するという報告が多いが, 症例によっては手術の意義が乏しい場合もあり, 皮膚筋炎の症状を改善させるために, 安易に手術をするのではなく, 十分に適応を検討する必要がある.