68 巻 (2007) 10 号 p. 2558-2564
症例は発症当時44歳, 男性. 1994年7月近医で虫垂炎穿孔腹膜炎の診断で手術施行. 1995年3月左下腹部痛を主訴に来院. S状結腸から直腸にかけて広範な不整狭窄, 内腔は発赤腫脹, 腹部CT検査で骨盤内炎症像著明で生検は虚血性腸炎であった. 絶食1カ月で改善せず, 低位前方切除術を施行し, 非特異的腸炎の病理診断であった. 術後, 吻合部中心の狭窄, 肛門痛出現し, 病理標本の再検査を行い, 放線菌症と判明した. ペニシリンG (PCG) の大量持続静脈投与を行い, 症状の軽快を得たが, 経口抗生物質への変更で増悪し, 直腸膀胱瘻を形成した. QOLを考慮し, 2000年4月, CVポートを埋め込み, 在宅でのPCG投与としたが, 腸管狭窄に加えて, 後腹膜, 腰部皮下膿瘍の出現等, 増悪したため2003年2月から, クラリスロマイシン (CAM) の経口投与の併用を開始し, 著明な改善が得られた. PCGの大量投与に抵抗する放線菌症に対し, CAMの経口投与が有用であった.