日本臨床外科学会雑誌
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症例
急性腹膜炎症状を呈した大網転移を伴う胃癌の1例
右田 和寛渡辺 明彦横山 貴司大山 孝雄石川 博文山本 克彦
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2007 年 68 巻 11 号 p. 2745-2748

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抄録

症例は70歳代, 男性. 前立腺癌に対し内分泌療法を受けている. 2006年12月, 下腹部痛のため当科を受診した. 下腹部に著明な圧痛と反跳痛を認め, 血液検査で炎症所見を認めた. 腹部造影CT検査で骨盤腔内に腹水の貯留と大網に帯状の肥厚像を認めた. 保存的加療を行うも改善せず, 急性腹膜炎の原因精査のため, 全身麻酔下に腹腔鏡検査を施行した. 肥厚した大網が広汎に腹壁に癒着し, 壁側腹膜は発赤し, 骨盤内に淡血性腹水を認めた. 大網を剥離した後, 小切開を加え大網を部分切除した. 切除した大網に4cm大の腫瘤を4個認め, 病理組織検査で腺癌の転移と診断された. 術後の上部消化管内視鏡検査でBorrmann4型胃癌を認め, 胃癌の大網転移と診断した.

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© 2007 日本臨床外科学会
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