日本臨床外科学会雑誌
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症例
小腸内視鏡による確定診断後, 化学療法を先行してから腹腔鏡手術を施行した小腸原発悪性リンパ腫の1例
八木 草彦児島 洋串畑 史樹今井 良典本田 和男小林 展章
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2007 年 68 巻 11 号 p. 2788-2793

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抄録

症例は72歳, 男性. C型慢性肝炎にて当院内科に通院中であった. 左腹痛を訴え, 同部に腫瘤も触知され精査加療目的にて入院となった. CT検査にて左上腹部に最大径88mmの腫瘤を認めた. 小腸内視鏡検査では空腸に全周性の潰瘍性病変を認めた. 小腸内視鏡下に生検を施行しdiffuse large Bcell lymphomaと診断した. 腫瘍が大きく周囲への浸潤があり切除するには侵襲が大きい為, まず化学療法を行った. R-CHOP療法を4クール施行し, 終了後左腹部の腫瘤は触知されない程にまで縮小した. しかし瘢痕様狭窄を生じた為同部の切除および組織学的検索目的に腹腔鏡補助下手術を行った. 瘢痕狭窄部にはviableな腫瘍組織は認めなかった. 小腸腫瘍に対する診断確定のための開腹手術は従来一般的であったが, 今回, 小腸内視鏡による確定診断と鏡視下手術による低侵襲治療が有効であった症例を報告する.

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© 2007 日本臨床外科学会
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