日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡補助下に切除した原発性早期回腸癌の1例
小倉 豊片山 信白井 量久深谷 昌秀井原 努尾上 俊介
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2007 年 68 巻 11 号 p. 2794-2799

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抄録

症例は57歳, 男性. 検診で便潜血反応陽性を指摘され精査目的で当院へ紹介入院となった. 大腸内視鏡検査で回盲弁より4cm口側の回腸末端に陥凹を伴う隆起性病変を認め, 引き続き行った細径プローブでの超音波検査では第三層の断裂を認めた. 生検はadenocarinomaで注腸所見をあわせて深達度MPの原発性回腸癌の術前診断で腹腔鏡補助下回盲部切除, D3リンパ節郭清を施行した. 術後の病理組織検査では高分化腺癌, 深達度m, n0で組織学的病期はStage0であった. 原発性小腸癌は比較的稀な疾患であり, 診断方法, 治療方針など統一した見解がないのが現状である. 本症例は回腸末端であったため盲腸癌に準じたリンパ節郭清を選択し, しかも腹腔鏡補助下に低侵襲かつ効果的な切除を行うことが可能であった. しかし診断では小腸癌の術前病期診断の難しさを痛感させられた症例であった.

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© 2007 日本臨床外科学会
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